年下双子の溺愛トリック
ハァ…と、私がため息をついたのとほぼ同時。
「1年6組と1年3組のメンバーは第2コートに集まってください」
…き、きた!
体育館内にそんなアナウンスが響き渡り、私は一気に顔が強張った。
「姫奈、私達コートのすぐ側で応援してるからね…!」
「頑張って」
奈々生ちゃんと夏奈ちゃんの声援に応えるように私はコクリと頷くと、重い腰をあげる。
コート内にそれぞれのチームが整列し、私は目の前に立っている相手チームの女の子をチラリと見つめる。
うわぁ…。すごい強そう…。
私よりもゆうに10センチは高い身長の彼女にゴクリと息を呑んだ。
「姫奈、落ち着いて。ホイッスルが鳴ったらゴール下まで行くんだよ」
「う、うん。わかった」
すでに怯んでいる私に気づいた同じクラスの子にそう声をかけられ、私は素直に頷く。
そうだよ、私の仕事はゴール下で待機して、ボールを拾ったらゴールに投げることだもん。
ーーピーッ。
けたたましいホイッスルの音と共に、試合が始まった。
私は指示通り、急いでゴール下まで行くとボールを受け取る準備をする。
「姫奈…!」
早速、味方からのパスが回ってきた。
ワンバウンドで私の方に向かってくるボールを取ろうと躍起になるも、ハネるボールの軌道に翻弄され、モタツいている間に。
「もーらいっ」
と、敵チームからいとも簡単にボールを奪われてしまっ
た。
せっかく皆が回してくれたのに…。
ゴールに入れるどころかシュートすらできていない自分に悔しさが募る。