年下双子の溺愛トリック
「姫奈、ドンマイ!」
「おしかったよ〜」
チームメイトの皆は、優しいから私に気遣ってそう声をかけてくれるけど。
やっぱり、私じゃ足を引っ張るだけだ…。
一生懸命プレーをしているチームメイトに申し訳なくて、私は思わず俯いてしまった。
その時だったーー。
「「姫奈(ちゃん)…!前向け(見て)…!」」
え…?
聞き覚えのある声が、私の耳に飛び込んでくる。
チラリと視線を声がした方へ移した私は驚いて目を見張った。
うそ!?ひーちゃん、すーちゃん!?
なぜか体育館にいたのは、ここにいるはずのない双子の姿。
しかも、高校のジャージ着てるし…!
てか、2人共、中学校は!?
頭の中には、色々な疑問が浮かんでくるが…。
今はバスケットボールの試合中。
2人が言うようにちゃんと前を向いて、ボールの行方を追っておかないとだよね。
「姫奈、ボールいったよ!」
ドリブルで攻めていたチームメンバーの足先に当たり、私の方に向かってタイミングよくボールが転がってきた。
「はい…!」
バッとボールをつかみ、私はそのままのシュートの体制に入る。
「…っ!」
コツは、力みすぎないで、きちんと膝のバネと体全身をつかって投げる。
昨日、ひーちゃんに教えてもらったことを反芻しながら私はバスケットゴールに向かって、思い切りシュートしたのだったーー。