年下双子の溺愛トリック

「姫奈、ドンマイ!」

「おしかったよ〜」

チームメイトの皆は、優しいから私に気遣ってそう声をかけてくれるけど。

やっぱり、私じゃ足を引っ張るだけだ…。

一生懸命プレーをしているチームメイトに申し訳なくて、私は思わず俯いてしまった。

その時だったーー。

「「姫奈(ちゃん)…!前向け(見て)…!」」

え…?

聞き覚えのある声が、私の耳に飛び込んでくる。
チラリと視線を声がした方へ移した私は驚いて目を見張った。

うそ!?ひーちゃん、すーちゃん!?

なぜか体育館にいたのは、ここにいるはずのない双子の姿。

しかも、高校のジャージ着てるし…!
てか、2人共、中学校は!?

頭の中には、色々な疑問が浮かんでくるが…。
今はバスケットボールの試合中。

2人が言うようにちゃんと前を向いて、ボールの行方を追っておかないとだよね。

「姫奈、ボールいったよ!」

ドリブルで攻めていたチームメンバーの足先に当たり、私の方に向かってタイミングよくボールが転がってきた。

「はい…!」

バッとボールをつかみ、私はそのままのシュートの体制に入る。

「…っ!」

コツは、力みすぎないで、きちんと膝のバネと体全身をつかって投げる。

昨日、ひーちゃんに教えてもらったことを反芻しながら私はバスケットゴールに向かって、思い切りシュートしたのだったーー。
< 49 / 56 >

この作品をシェア

pagetop