年下双子の溺愛トリック
放課後、いつもは奈々生ちゃんと一緒に帰る私。
けど、今日は。
『ゴメン、今日はちょっと委員会があるから先に帰ってて』
と、彼女に言われ、私はトボトボ1人で家路を急いでいた。
「つまんないの〜…。こんなことなら私も今日は、クラスマッチの練習参加すればよかったかなぁ…」
ハァ…と、大きなため息を1つこぼし、ポツリとそうつぶやく。
一応、クラスマッチではバスケに参加する予定の私。
まぁ、参加と言っても、補欠なんだけどね…。
うーん…。でも私がいたら練習に参加するだけでも、足手まといにっちゃいそうなんだよなぁ…。
「姫奈ドンマイ!」「だ、大丈夫、とりあえずボールとってこ!」と、練習の時点でクラスメイトに気を使わせてしまう自分の姿が容易に想像できて、私は小さく肩を落とした。
その時。
「あれ?姫奈じゃん、珍しいな〜。1人?」
背後から聞こえてきた私の名前を呼ぶ明るい声に、思わずピクッと反応してしまう。
この声、もしかして!?
勢いよく声のする方へ振り返る私は、その姿を視界でとらえて瞳をキラキラ輝かせた。
「陽くん…!!」
そう。そこにいたのは、先ほどから話題にあがっている私の大好きな幼なじみ、道枝陽くんだったのだ。