年下双子の溺愛トリック


「それで、どうしてひーちゃんとすーちゃんがここにいるの?」

試合が終わった瞬間、そそくさと退散しようとしている2人を発見した私は、体育館と校舎の間にある中庭まで彼らを連れ出していた。

「……」

「…えっと〜…姫奈ちゃんのこと心配で」

バツが悪そうに視線をそらすひーちゃんと、ごまかしたような言い訳をするすーちゃんをジロリと見据える。


結局、私のクラスは試合には、負けてしまったのだが…。

ーースパッ。

あの時のシュートは、奇跡的にゴールへと綺麗に吸い込まれていき得点を決めることができたのだ。

その瞬間。

「キャー!姫奈〜!!」

「かっこいいよ〜」

と、メンバーや周りのクラスメイト達からの歓声が体育館内に響き渡る。

夏奈ちゃんにいたっては、隅の方で瞳を潤ませていて思わず苦笑いを浮かべてしまったくらいー…。


「で、そのジャージはどうしたの?」

「陽兄のは拝借したんだよ。ちなみに、陽兄は今日俺等がここにいるの知ってるから」

あっけらかんと答えるひーちゃんに私は目を白黒させる。

「陽くん知ってるの…?ていうか、そもそも中学校はどうしたの!?ひーちゃんはともかく、真面目なすーちゃんがサボるなんて…」

サーッと青ざめていく私の表情を見て、ひーちゃんは、口元を引きつらせ、すーちゃんはクスッと笑みをこぼした。

「姫奈ちゃん、今日は僕たち創立記念日で休みだよ?去年まで姫奈ちゃんも一緒の中学校だったのに忘れたの?」

創立記念日…?

キョトンとした表情で2人を見つめると、今度はひーちゃんが呆れたようにため息をついている。
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