年下双子の溺愛トリック
けど、私はあまりにも突然の出来事で、未だに頭が追いつかない。

「あの道枝くんの幼なじみの小谷さんだよね?1年生の中ですごく可愛い子がいるな〜って思ってたの。お話できて嬉しいな」

「あ、はい…。えっと、私も嬉しいです」

曖昧に微笑んだ私に対して、浪川先輩は、曇りのない瞳で私を見めている。

きっと、本当にそう思って言ってくれてるんだろうなということが伝わってきた。

そっか…。陽くん、彼女できたんだね。

幸せそうな2人の様子に胸にチクンと痛みを感じる。

すると。

「…陽兄、俺と素直はそろそろ帰るわ。バレたら怒られるかもだし…姫奈出口まで送って」

「さ、姫奈ちゃーん。行くよ〜」

「ちょっと、2人とも!?」

両サイドから腕を捕まれた私は半ば強引に、笑顔の彼らに連れて行かれる。

呆気にとられる陽くんと浪川先輩を置いて、私たちはその場を後にしたのだったー。
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