年下双子の溺愛トリック
「へぇ…?そうだったんだ…。でも、何でそんな嘘を…?」

陽くんの好みのタイプだなんて言って、自分達のタイプを教えるメリットっていったい…。

そう思って、首をひねる私に。

「ハァ…。本当バカ」

「姫奈ちゃんって鈍感だよね…」

両サイドから憐れむようにツッコまれ、私は思わずムッと口をとがらせた。

「もうさっきから何なの?もったいぶっちゃって。2人とも言いたいことあるならハッキリ言えばいいじゃん!」

チクチクと嫌味を言われるこっちの身にもなってほしい。

「ふーん?俺達がハッキリ言ったらお前が困ると思うけど、いいんだ?じゃあ、言わせてもらうけどさ」

「好きな子を自分たち色に染めたいって思うのは当たり前の感情じゃない?」

「……」

"好きな子" そのワードに私はゴクリと息をのんだ。

え?今、すーちゃん、好きな子って言った?
ひーちゃんは、ハッキリ言ったら私が困るって…?

先日のショッピングモールで楽しそうに私に服を選んでいた2人を思い出す。

えっと、もしかして…2人の好きな人って…。

そこに気づいた瞬間、ブワッと頬が真っ赤に染まるのがわかった。思わず、隣に立っていた彼らからバッと一定の距離をとる。

私のそんな様子を見た2人は、「やっと気づいたか」とでも言うようにフッと不敵に微笑んでいて。
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