最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
杏奈も医師も同時に目を丸くして固まっていた。

医師の左胸についたネームには長澤と書かれていて、その名字はよく知っているものだった。

「杏奈?」
医師の方が最初に沈黙を破った。

杏奈の顔と、カルテを交互に確認している。
「稔くん?」

長澤稔は幼馴染で、確か父親が開業医だったはずだ。
でも、それを知っていたからもちろん長澤医院は避けたのに、なんで……。

「帰ってきてたんだ?」
稔の質問に杏奈は曖昧に頷く。

こんなところで再開するなんて。
しかも妊娠したことを知られるなんて。

気まずさからうつむいてしまうのに、脳裏には子供の頃稔とよく遊んだ光景が浮かんできていた。
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