最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
妊娠していることを秘密にして、こっそり堕胎して、なんでもない顔をして出社すればいいのだ。

そんなことを考えている自分が嫌になってまた涙が滲んできた。
どうすればいいかわからない……。

と、そのときだった。
なんの前触れもなく玄関チャイムが鳴って杏奈が顔を上げた。

壁掛け時計の針は午後3時を過ぎたところだ。
同僚の飯田が心配して来てくれたのかと思ったが、まだ仕事中のはずだ。

なら誰だろう?
重い腰を上げて玄関へ出てドアスコープから外を覗く。

するとそこに立っていたのは稔だったのだ。

稔は昨日の白衣とは違い、ジーンスにTシャツというラフな格好をしているから、今日は休日なのだろうか。
< 26 / 86 >

この作品をシェア

pagetop