最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
っていうか、なんで稔がここに!?
稔にはアパートの住所なんて教えていないはずだ。

理解が追いつかずにパニックになりながらも、玄関に置いてある姿見で自分の顔を確認する。

朝よりは少しマシだけれど、目はまだ腫れぼったい。
こんな姿を稔に見られるのは……!

と、思っている間に二度目のチャイムが鳴らされた。
「いるんだろ? 開けてくれ」

このまま居留守を使ってやり過ごすことはできた。

それでも玄関の鍵を開けたのは、昨日は稔から逃げてしまった罪悪感があったから。

だけどそれだけじゃない。

誰かによりかかりたいと思っているからだと、自分自身が一番良くわかっていた。

玄関を開いたとき、杏奈は自分の頬に涙が流れていることに気がついた。
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