最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
それを拭う暇もなく稔の両腕に抱きすくめられていた。
「泣いてんじゃん」

ボソリと呟くその声は懐かしくて、心地よくて、余計に涙が溢れ出す。

「稔くん……私、どうしよう」
子供みたいにしゃくりあげながら問いかける。

そんな質問されたって稔が困るだけだとわかっているのに。
だけど稔は優しく杏奈の背中をなで続ける。

「子供の父親と連絡は?」
「取れない」

昨日と同じように左右に首をふる。
「杏奈は子供をどうしたい?」

私?
私は……。
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