最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
飯田に嘘は通用しなさそうだ。
「妊娠してた?」

「うん」
コクンと頷いた瞬間、飯田の顔が泣きそうに歪んだ。

「ごめん。私にも責任があるよね」
「え、なんでそうなるの!?」

「だって、あいつを紹介したのは私なんだし、もう別れて連絡も取れないんでしょう? なんとかするから」

神妙な面持ちで矢継ぎ早に言う飯田を慌てて手で制した。

「晃司に連絡してくれるのは嬉しいけど、飯田さんがそんなに気にすることじゃないよ。好きになったのも付き合ったのも、私なんだし」

「でも……」
それでも飯田は納得いかない顔を浮かべている。

「とにかく、晃司の連絡先は私に任せて。まだバンドをやってるだろうから、会場へ行って捕まえてやる」

飯田はそう言うと握りこぶしを作ってみせたのだった。
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