最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
☆☆☆

「本当にごめんなさい!」

つい先程持したばかりのリビングで、額を床にこすりつけるようにして杏奈は言った。

「そう……稔の子じゃなかったのね」

杏奈だけが戻ってきた驚いていた両親だけれど、杏奈から子供の説明を聞かされた今はとても静かな声色だった。

「はい。嘘をついてごめんなさい」
声が震えた。

全身に嫌な汗をかいていたし、今すぐにでも逃げ出してしまいたい気持ちだった。
それでもここで逃げるわけにはいかない。

このまま、稔と永遠に分かれることになるかもしれないけれど、やっぱり隠し通すことはできない。

「それは残念だな」
稔のお父さんが深くため息を吐き出す。

杏奈の鼓動は早鐘をうち始めていた。
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