最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
元カレの子供を身ごもっている女など、結婚させてくれるはずがない。

稔の優しさについぶら下がってしまおうとしていたけれど、やっぱりそんなことは許されないのだ。

自分の都合で、相手の人生を振り回しちゃいけない。
杏奈はグッと奥歯を噛み締めて顔を上げた。

ふたりとも落胆した表情を浮かべている。
「期待させてすみませんでした。私は身を引きます」

ふたりにとってもそれが最善のはずだ。

稔はいい男だし、全うな彼女を見つけて結婚して、稔の血を引く可愛い赤ちゃんをつくればいい。

そんな簡単な話じゃないかもしれないが、少なくても私がいなければそうなる可能性は出てくるんだから。

「それなら杏奈ちゃんにはもうひとり頑張ってもらわないとね」
その言葉に杏奈はまばたきをして稔の母親を見つめた。
< 54 / 86 >

この作品をシェア

pagetop