最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
☆☆☆

その夜はなかなか寝付くことができなくてベッドの中で何度もため息をついた。

「杏奈、大丈夫か?」
隣のベッドから稔が声をかけてくれる。

もう夜中の1時を回っているけれど、杏奈のことが気がかりでこちらも眠れていなかった。

「大丈夫だよ。ごめんね、ため息うるさいでしょ」
「うるさくなんてないよ」

ゴソゴソとベッドを抜け出す音が聞こえてきたかと思うと、杏奈のかぶっている布団が持ち上がった。

そのまま稔がするりとベッドに入り込んできて、背中から抱きしめてきた。
稔はお腹にそっと手を当てて、ゆっくりと撫ではじめる。

「この子の父親、本当に最低でしょう?」
今日の出来事を思い出すと悔しくて涙が滲んできた。
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