最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
杏奈が手を伸ばして稔の額に触れようとしたとき、パシッとその手がはねのけられていた。

杏奈は驚いて手を引っ込める。
「ごめん。疲れてるだけだから」

そう言って笑顔を見せているけれど、眉は寄って、口元も引きつっている。

「なにかあったの? 最近ずっとそんな調子じゃない。夜だって途中で起き出してるでしょ」

親子三人で同じ部屋に寝ているから、稔が起き出せばすぐに気がつく。
「気がついてたのか」

稔がため息をついて少し長くなってきた前髪をかきあげた。

「うん。ねぇ、どうしたのか教えて? パパがそんなんじゃ、奈美だって心配するよ?」

熱いお茶を入れて向かい合って座ると、稔が観念したように口を開いた。
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