最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
「なぁ、なみって漢字でどう書くんだ? それくらい、教えてくれてもいいだろう?」

食い下がってくる晃司に杏奈は小さくため息を吐き出した。
それくらいなら、別に大丈夫だろうと判断して「奈美」という漢字を伝えた。

「そうか。奈美か。いい名前だな。奈美の奈は杏奈の奈なんだな」
「そうだよ。奈美の美は稔の「み」から取ったの」

背筋を伸ばして説明するが、晃司はそれを無視した。
「なぁ奈美に会わせてくれよ。少しでいいんだ」

「今何時だと思ってるの? 奈美はとっくに寝てる」

「そういえば子供は寝る時間だったな。じゃあ写真は? あ、でもこれから先は毎日顔を見ることができるんだよな。俺の子供なんだし」

次から次へと話をふってくるのはこちらが本題へ入れないようにしているからだろう。

自分にとって悪い話のとき、晃司は昔からこうして時間稼ぎする人だった。
結局、今でもなにも変わっていないんだろう。
< 78 / 86 >

この作品をシェア

pagetop