最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
晃司が拳を振り上げる。
しかしそれが杏奈の頬に当たる前に稔が晃司の腕を掴んで止めていた。

「浮気してたのは同じだろ? 杏奈だけを責める筋合いはないはずだ」
「くっ……」

普段の晃司なら相手の手を押しのけてでも殴ってくる。
が、それができないのは稔の力が上回っていたからだろう。

晃司は悔しそうに唇を噛みしめると、拳をテーブルに叩きつけた。
水の入ったグラスが揺れて倒れる。

「君には悪いけど俺たち家族の邪魔をすることは許さない」
「ふんっ。お前もモノ好きな男だな。そんな女もガキも好きにしろ」

腕力で勝てないことがわかったのか晃司はチッと舌打ちを残してファミレスを後にしたのだった。
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