トップシークレット☆桐島編 ~お嬢さま会長に恋した新米秘書~
――新年度を迎える前日の三月三十一日。この日、僕は絢乃さんとのデートを断り、朝から一人で買い物をしていた。目的は、三日後に控えた絢乃さんの誕生日プレゼント選びだ。
記者会見が行われた前日の朝、彼女に欲しいものを訊ねてみると、高級ブランド品はもらっても嬉しくないとの答えが返ってきた。それはきっと、僕のサイフ事情を鑑みておっしゃったのだと思う。それに、「ブランド物には興味がない」ということをそれ以前にもおっしゃっていたからだ。
コスメはどうだろうかと提案してみたが、言ってしまってから思い出した。僕には、デパートのコスメ売り場にイヤな思い出があったことを。
大学時代のことだ。当時交際していた彼女から誕生日に口紅が欲しいとねだられたことがあり、真っ赤なルージュを選んで贈ったら「こんなどキツい色を選ぶなんて、桐島くん、どういうセンスしてるの!」と思いっきりドン引きされたのだ。
それ以来、女性へのプレゼントにコスメという選択肢は僕の中から消えたのだった。
「――コスメはともかく、コロンはどうだろう? ……ってダメかぁ。コスメと売り場一緒だしな」
一階にコスメ売り場のあるデパートに入りかけ、頭を抱えた。
絢乃さんのお好きな柑橘系の香りのコロンを贈ろうと思い立ったのだが、コロンや香水が売られているのはトラウマのあるコスメ売り場だ。僕としては、あまり立ち入りたくない場所である。それも男ひとりでは。
それに、柑橘系ならどれでもいいというわけでもないだろうし。彼女がどのブランドのものを愛用されているのかまでは聞いたことがなかったから。
「…………ここは無難にアクセサリーかな」
デパートに入るのをやめ、恵比寿にある宝飾店へ向かった。
問題は、どんなアクセサリーを選ぶか。まだ付き合い始めて間もなかったので、指輪はさすがに重いだろう。絢乃さんにブレスレットを着けるイメージはないので、ネックレスなんてどうだろうか? ゴテゴテしていなくてシンプルなものなら、制服の時にも着けやすいだろう。
「……あの、すみません。彼女へのプレゼントなんですけど、シンプルでも可愛いネックレスなんてあったりしますか?」
女性店員さんに声をかけ、お手頃価格で買えるネックレスを選んでもらった。チャームもチェーンもプラチナで、オープンハートのチャームが可愛らしく、これなら絢乃さんに似合いそうだ。
僕はそれを一目で気に入り、彼女にプレゼントしようと即決した。
記者会見が行われた前日の朝、彼女に欲しいものを訊ねてみると、高級ブランド品はもらっても嬉しくないとの答えが返ってきた。それはきっと、僕のサイフ事情を鑑みておっしゃったのだと思う。それに、「ブランド物には興味がない」ということをそれ以前にもおっしゃっていたからだ。
コスメはどうだろうかと提案してみたが、言ってしまってから思い出した。僕には、デパートのコスメ売り場にイヤな思い出があったことを。
大学時代のことだ。当時交際していた彼女から誕生日に口紅が欲しいとねだられたことがあり、真っ赤なルージュを選んで贈ったら「こんなどキツい色を選ぶなんて、桐島くん、どういうセンスしてるの!」と思いっきりドン引きされたのだ。
それ以来、女性へのプレゼントにコスメという選択肢は僕の中から消えたのだった。
「――コスメはともかく、コロンはどうだろう? ……ってダメかぁ。コスメと売り場一緒だしな」
一階にコスメ売り場のあるデパートに入りかけ、頭を抱えた。
絢乃さんのお好きな柑橘系の香りのコロンを贈ろうと思い立ったのだが、コロンや香水が売られているのはトラウマのあるコスメ売り場だ。僕としては、あまり立ち入りたくない場所である。それも男ひとりでは。
それに、柑橘系ならどれでもいいというわけでもないだろうし。彼女がどのブランドのものを愛用されているのかまでは聞いたことがなかったから。
「…………ここは無難にアクセサリーかな」
デパートに入るのをやめ、恵比寿にある宝飾店へ向かった。
問題は、どんなアクセサリーを選ぶか。まだ付き合い始めて間もなかったので、指輪はさすがに重いだろう。絢乃さんにブレスレットを着けるイメージはないので、ネックレスなんてどうだろうか? ゴテゴテしていなくてシンプルなものなら、制服の時にも着けやすいだろう。
「……あの、すみません。彼女へのプレゼントなんですけど、シンプルでも可愛いネックレスなんてあったりしますか?」
女性店員さんに声をかけ、お手頃価格で買えるネックレスを選んでもらった。チャームもチェーンもプラチナで、オープンハートのチャームが可愛らしく、これなら絢乃さんに似合いそうだ。
僕はそれを一目で気に入り、彼女にプレゼントしようと即決した。