トップシークレット☆桐島編 ~お嬢さま会長に恋した新米秘書~

ヒーローになる時

 ――その後、僕は絢乃さんと里歩さんと三人で、部活の話題で大いに盛り上がった。

 里歩さんは中等部に上がってからずっとバレーボール部に所属されていて、中等部でもキャプテンを任され、その当時もキャプテンとしてチームを引っ張る立場におられたらしい。……ただ、茗桜女子は強豪校ではないため、あくまで「バレーボールは楽しくプレイできればいい」というスタンスでいたそうだ。
 そのうえ、ポジションも花形のウィングだったというから、僕にしてみれば華やかすぎて(?)羨ましい限りである。やっぱり、目立つ絢乃さんには同じくらい目立つ里歩さんのような友人ができるのだろうか。……ん? ちょっと違うか。
 彼女が長身でスタイルもいいので、思わず口に出して褒めたところ、絢乃さんから「それ、セクハラだよ」とお咎めを受けた。――里歩さんは笑いながら「ありがとうございます」と軽く流されただけだったが。

「――ねえ、桐島さんは何か部活やってたんですか?」

 逆に里歩さんから質問を受け、「わたしも聞いたことなかったな」と絢乃さんにまで乗っかられて、僕はたじろいだ。
 中高の六年間、ずっと帰宅部だったなんて答えたら、このお二人はガッカリするだろうか。……特に絢乃さんが。
 僕はけっこう身長が高い方で、しかもほどほどに筋肉もついているのでスポーツをやっていたのでは、と誤解されがちなのだが、実はかなりの運動オンチだ。筋肉がついたのは社会人になってから、総務課でこき使われていたためだ。

「…………いえ、何にも。中学高校とずっと帰宅部だったので」

 とはいえ、ウソをつくのがキライな性分なので正直に白状すると、絢乃さんにガッカリされている様子はなかった。

「なぁんだ。じゃあわたしと同じだね。ちょっと……嬉しいな」

 むしろ、僕とご自身の間に共通点を見つけられて嬉しそうにはにかんでいた。
 でも、同じ帰宅部でも多分、僕と彼女とでは事情や理由が違っていたはずだ。
 絢乃さんは放課後も習いごとやら何やらでお忙しかったから、部活になんて入っている余裕がなかったのだろうが、僕はただ単に先輩後輩の関係に煩わされるのが面倒で入りたくなかっただけなのだ。
 それに、元々僕は平和主義者なので、部活内での揉め事なんかゴメンだったし。……これは運動部・文化部問わず、どちらにも言えることだ。

「え~っ!? なんか意外~!」

 対して、里歩さんのリアクションはなかなかにオーバーだった気がする。この人も僕が帰宅部だったことが意外だと思っていたクチか。
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