どんな君でも愛してる

「そうよね、送別会で飲ませてから文句言いたい」

 あははと、皆が三井さんの悪口を聞いて笑っている。でも、彼女最近は様子が変だった。そうか、きっとこの結婚のことが原因だったのね。
 
「でも、最近は一生懸命やっていたと思います」

 私が言うと、部長がうなずいた。

「そうだな。川村さんの言う通りだ。実は少し小耳に挟んだんだ。ここだけの話にしてくれ。婚約したそのお相手が実は再婚らしいんだ。北野さんは最後まで拒んでいたが、結局家のために結婚を決めたそうだよ。彼女には彼女なりの悩みがあったんだろう」

「……」

 皆静かになった。お嬢様にはお嬢様の悩みというのがあったんだ。相手も自分で選べないなんて本当に気の毒だ。
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