どんな君でも愛してる
そして、指導員だった凛花が何か北野さんが失敗するたびに尻ぬぐいをして謝っていたのを社内の人は皆見ていた。つまり、凛花は北野さんをよくは思っていないだろうというのが大方の周りの想像だったらしい。
相川から聞いたのだが、凛花がその腹いせで俺を北野さんから奪って復讐したんだろうと面白おかしく邪推されているというのだ。凛花は何も言ってくれなかったので聞いたときは本当に驚いた。
「うちの娘と君というのも悪くない。こっちのほうが運命かもしれないな。実は北野社長から娘さんをやめさせる際に川村さんのことで苦情を聞いてね、異動させようかと思ったんだが、人事部長が彼女を庇うからね、しょうがなくやめたけど」
「なんですって?親子そろって北野さんは嘘つきなんですね。勘違いしないでください。北野さんは仕事がミスだらけだったのは周知の事実で、私も被害者だったんです。それを庇っていたのが川村さんですよ。よくもそんなウソが言えたものだ」
俺は許せなかった。ここにいるのも反吐が出る。席を立つと頭を下げた。