どんな君でも愛してる
 今まで提供した商品のケアだけに留めると言っていた。

 信也さんから聞いていた通りだった。仲間思いの彼がどれほど苦しんだか……。

 お父様にはこのままお付き合いすれば社長夫人になるよと冗談交じりの言葉だが、光る眼で言われた。牽制されたのだとすぐにわかった。

 本来なら北野さんのようなお嬢様との結婚も望める人だ。見た目も、中身も申し分ない息子さん。

 それに対して、彼が連れてきた私は、頭を打って記憶が少し飛んだ娘。病み上がりの状態。左肩はあがらない。

 しかも、胸元に傷もある。

 彼は私がその時何を考えたかすぐにわかったのだろう。

「もちろん、結婚前提で付き合っているつもりだ。俺にとって、凛花以上の人はいない」
< 265 / 302 >

この作品をシェア

pagetop