どんな君でも愛してる
「そうよ。申請二枚出てたでしょ。一枚が望月さん、もう一枚が並木支店長だったの。篠田さんは事務だから二人の分を合わせて手続きしただけってあの時も……」
「そんなの聞いてません。きちんと教えてくれないからこういうことになるんです!」
大きな声で真っ赤な顔をしてかみついてきた彼女に息をのんだ。教えてくれないって……。
「……北野さん」
後ろから眉間にしわを寄せた部長が彼女に声をかけた。北野さんは嬉しそうに振り向いて部長を見た。自分を庇ってくれると思ったんだろう。