どんな君でも愛してる
「そう。義兄さんは経営に明るい優秀な人だからよかったね」
紅茶を入れながら、目の前の俺をじっと母は見た。
「信也。あなたがいることを紘一さんにはきちんと伝えている。この間もSUNAの社長から連絡があったのよ。あなたが東北の取引を拡大して表彰されたのを聞いたお父さんは喜んでましたよ。それに、あなたを近いうち東京へ戻しますと言われていたみたい」
「ふーん、そう。ああ、紅茶おいしいよ、母さん」
嬉しそうにしている母さん。母さんの好きなアールグレイ。久しぶりに飲んだ。土産の仙台銘菓を食べながら話した。
「信也。お父さんはそろそろあなたを戻したいのよ。そちらの会社にいる北野化学の娘さんと縁談があるって前も言ってたでしょ。あちらは経営が苦しくて、あなたと結婚が決まればうちの傘下に入るとか……」
「彼女はお断りだ。前も言っただろ。押し付けられるのは大嫌いだ」