どんな君でも愛してる

「ああ?どうしてそんな声なんだ?今日、もしかして具合でも悪いのか。それなら無理しなくていいぞ」

「あ、並木さんだったんですね」

 やっぱりそうだった。彼女の不機嫌はこれだった。

「は?もしかして俺の名前も言わないで彼女は取り次いだのか?」

「びっくりした……並木さんったら見ていたように言わないでくださいよ」

「それを言うなら君だろ。驚くほど俺が考えていることを先回りしてやってくれる。例の書類ありがとう。君、エスパーだろ」

 そういってくすくすと電話の向こうで笑っている。本当に楽しい。彼と話すと時間を忘れてしまいそう。
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