どんな君でも愛してる
「ああ、よろしくされるよ。楽しみだ。もし俺が間に合わなかったら始めていてくれ。適当に頼んで食べていていいからな」
「わかりました」
電話を置くと、私の横にいつの間にか北野さんがいた。睨んでる。怖い。
「……ずいぶんと仲良しなんですね」
それだけ言うと私の横を通って、いなくなった。
初対面のあの日、彼女が並木さんと最初会ったことがあると言っていたのをすっかり忘れていた。そして、彼を好きだという姿勢を見せていたことを軽く見ていた。
自分が恋愛に距離を置いているから警戒心が緩かったのだが、そのときは彼との食事が楽しみですっかり失念してしまっていた。あとで後悔しても遅かった。