どんな君でも愛してる
「それはいつの話だ?」
「え?あ、異動してすぐのころです。彼は人事にいたので、北野さんの問題はよく知ってましたけど、実際二部へ異動して彼女の会社の研究とかうちには必要だってわかったって言ってたんです。だから私もしょうがないなと思って……」
「しょうがないから、なんでも彼女の泥を被って後始末してやっていたんだろ?人が良すぎるぞ」
「だって、しょうがないですよ。私、これでも指導員だったんです」
「あのな、指導員っていうのは一年目までの話だ。それ以降は自力で本人がなんとかするもんなんだよ」
確かにそうです。普通ならそうですね。
「だって普通じゃないんですもん。だからしょうがないんです。でもあれから並木さんのおかげで彼女文句を口に出さなくなったんです。表情には相変わらず出しますけれどね。それでも進歩ですし、部長が叱るようになったから自分でミスをリカバリーさせはじめました。本当にありがとうございました」