どんな君でも愛してる
そして、それでもいいと言ってくれた。前の彼もゆっくりでいいよといいながら求めてきた。話そうと思いながら言えなかった。
でも並木さんにこのことを話すべきなの?彼を手放したくない私はどうすべきだろうとその夜は悩んでしまった。
* * *
翌週から急に北野さんが出社しなくなった。具合が悪いのかと聞けば違うらしいと言う。連絡は来ているんですかと聞けば、個人的事情で休むと連絡をもらっていると言われてしまう始末。
今日お休みなら、私から連絡してみようと思った日の朝だった。部長は彼女が来なくなって三日目、みんなを集めた。
「ああ、みんなに報告がある。北野君のことだ。知っている人もいるかもしれないが、彼女のご実家の会社とのうちの会社の提携が破棄された。実は彼女はとある化粧品会社の社長さんと婚約されて、そちらと北野化学は提携するそうだ。うちの会社との縁は切れ、もう用はないから辞めることになったそうだ」