君の音を聞かせて
夕焼けの海で
二人で学校を出て、肩を並べて歩いていた。
誰かの隣で歩くの、久しぶりだから、緊張するな。
「川西」
「っ、はい!」
「どうしたんだよ、そんなに驚いて」
「えっと、誰かの隣で歩くのが久しぶりなんだ」
「そうか」
しばらく、沈黙が流れる。
「川西」
「っ、はい!」
「緊張するのも分かるけど、いや、分からないな。それに、理由も分からないし、それは、聞かない。だけど、俺は、川西と話したい」
えっ...。
「私と?」
「ああ。そのために誘ったんだけど」
「話して良いの?」
「俺が良いって言ったんだから、大丈夫」
そうなんだ。話して、良いんだ。
「私も...浅倉君と話したい」
「よし。何から、話すかな」
考え込む浅倉君。
「川西の誕生日は?」
「私の誕生日?」
私は、固まってしまう。
「おーい、川西。固まったら、駄目だぞ。聞いてるんだから、答えて」
浅倉君に言われて、はっとなる。
そうだよね。ちゃんと、浅倉君と話したい。
「えっと、九月一日だよ」
「そうか。俺は、十一月二十日」
「浅倉君、冬生まれなんだ」
「俺、夏生まれそうって、よく、言われる」
「私も今、そう思ったよ」
「だけど、冬なんだよな」
「不思議だね」
「なんにも、不思議じゃねえよ。ただ、生まれた日ってだけだから」
「確かに」
「だろ」
浅倉君が笑う。
私、ちゃんと、話せてる。
嬉しいし、楽しいな。
「もうすぐ、夕焼けだね」
「そうだな」
空が水色から茜色に染まっていく。
「川西、まだ、時間、あるか?」
「うん、大丈夫だよ」
「寄り道しないか?」
寄り道か。どこに行くんだろう。そう思うと同時にワクワクしたのと浅倉君がまた、知らない世界に連れて行ってくれるんだと思ったから、私の答えは、すぐ、決まった。
「うん、行きたい」
「よし。決まりだな」
そして、やって来たのは、海だった。
砂浜に慣れなくて、足を取られるが、砂を踏む音は、良いと思ったし、潮風が気持ち良かった。
「学校の近くから、海に出られたんだ」
「ああ。俺の秘密の場所だぜ」
確かに、ここは、知ってる人じゃないと、出られなさそうな場所だった。
「ありがとう。連れて来てくれて」
「まだ、それを言うのは、早いな」
「えっ?」
「海の方、見てみろよ」
そう言われて、海を見ると、地平線に夕陽が沈みかけていた。
「綺麗」
「だろ」
すごいな。浅倉君は、私の知らない景色をたくさん、知っていて、今日、それを教えてくれた。
「波の景色と音を見ながら、夕陽って、自分の目で見るとこんなに綺麗だったんだ」
「初めて、ここに来た時、俺も同じ事、思ったんだ。
だから、たまに、立ち寄るんだけど、ここに誰か、連れてきたのは、川西が初めてだ」
「えっ」
私と浅倉君の目が合う。
「今日が、そのなんとなくで、川西が一緒だったから、ラッキーだったな」
「もし、私じゃない、誰かと一緒に居た時、その誰かをここに連れて来てた?」
あれ?私、何、聞いて...。
「かもな」
「私、ラッキーだったんだ」
「ああ」
また、話を切り替えたくて、私は、夕陽を見る。
「本当に綺麗」
「そうだな」
私は、夕陽を見つめながら、思った。
浅倉君にも、友達、居るのに、何、聞いてるんだろう。
それに...川西だけだ、って、言って欲しかったと思ってしまったんだ。
「そろそろ、行くか」
「えっ、もう、行くの?」
「暗くなるからな。それでも、一緒に見れる時があったら、また、来ようぜ」
「うん」
そうだった。今は、下校の途中、休みの日じゃない。
浅倉君が家まで送ってくれた。
「送ってくれて、ありがとう」
「ああ。また、明日、学校で」
「うん。明日もよろしく」
「こちらこそ。またな」
そう言って、帰っていった。
夕日、また、一緒に見られたら、良いな。
誰かの隣で歩くの、久しぶりだから、緊張するな。
「川西」
「っ、はい!」
「どうしたんだよ、そんなに驚いて」
「えっと、誰かの隣で歩くのが久しぶりなんだ」
「そうか」
しばらく、沈黙が流れる。
「川西」
「っ、はい!」
「緊張するのも分かるけど、いや、分からないな。それに、理由も分からないし、それは、聞かない。だけど、俺は、川西と話したい」
えっ...。
「私と?」
「ああ。そのために誘ったんだけど」
「話して良いの?」
「俺が良いって言ったんだから、大丈夫」
そうなんだ。話して、良いんだ。
「私も...浅倉君と話したい」
「よし。何から、話すかな」
考え込む浅倉君。
「川西の誕生日は?」
「私の誕生日?」
私は、固まってしまう。
「おーい、川西。固まったら、駄目だぞ。聞いてるんだから、答えて」
浅倉君に言われて、はっとなる。
そうだよね。ちゃんと、浅倉君と話したい。
「えっと、九月一日だよ」
「そうか。俺は、十一月二十日」
「浅倉君、冬生まれなんだ」
「俺、夏生まれそうって、よく、言われる」
「私も今、そう思ったよ」
「だけど、冬なんだよな」
「不思議だね」
「なんにも、不思議じゃねえよ。ただ、生まれた日ってだけだから」
「確かに」
「だろ」
浅倉君が笑う。
私、ちゃんと、話せてる。
嬉しいし、楽しいな。
「もうすぐ、夕焼けだね」
「そうだな」
空が水色から茜色に染まっていく。
「川西、まだ、時間、あるか?」
「うん、大丈夫だよ」
「寄り道しないか?」
寄り道か。どこに行くんだろう。そう思うと同時にワクワクしたのと浅倉君がまた、知らない世界に連れて行ってくれるんだと思ったから、私の答えは、すぐ、決まった。
「うん、行きたい」
「よし。決まりだな」
そして、やって来たのは、海だった。
砂浜に慣れなくて、足を取られるが、砂を踏む音は、良いと思ったし、潮風が気持ち良かった。
「学校の近くから、海に出られたんだ」
「ああ。俺の秘密の場所だぜ」
確かに、ここは、知ってる人じゃないと、出られなさそうな場所だった。
「ありがとう。連れて来てくれて」
「まだ、それを言うのは、早いな」
「えっ?」
「海の方、見てみろよ」
そう言われて、海を見ると、地平線に夕陽が沈みかけていた。
「綺麗」
「だろ」
すごいな。浅倉君は、私の知らない景色をたくさん、知っていて、今日、それを教えてくれた。
「波の景色と音を見ながら、夕陽って、自分の目で見るとこんなに綺麗だったんだ」
「初めて、ここに来た時、俺も同じ事、思ったんだ。
だから、たまに、立ち寄るんだけど、ここに誰か、連れてきたのは、川西が初めてだ」
「えっ」
私と浅倉君の目が合う。
「今日が、そのなんとなくで、川西が一緒だったから、ラッキーだったな」
「もし、私じゃない、誰かと一緒に居た時、その誰かをここに連れて来てた?」
あれ?私、何、聞いて...。
「かもな」
「私、ラッキーだったんだ」
「ああ」
また、話を切り替えたくて、私は、夕陽を見る。
「本当に綺麗」
「そうだな」
私は、夕陽を見つめながら、思った。
浅倉君にも、友達、居るのに、何、聞いてるんだろう。
それに...川西だけだ、って、言って欲しかったと思ってしまったんだ。
「そろそろ、行くか」
「えっ、もう、行くの?」
「暗くなるからな。それでも、一緒に見れる時があったら、また、来ようぜ」
「うん」
そうだった。今は、下校の途中、休みの日じゃない。
浅倉君が家まで送ってくれた。
「送ってくれて、ありがとう」
「ああ。また、明日、学校で」
「うん。明日もよろしく」
「こちらこそ。またな」
そう言って、帰っていった。
夕日、また、一緒に見られたら、良いな。