クールな御曹司と初恋同士の想い想われ契約婚~愛したいのは君だけ~
それから二カ月近く、メッセージのやり取りや電話で声は聞くもののふたりきりで会うのは久しぶり。

美緒は自身が仕立てたワンピースを身に纏い、普段滅多に足を通すことのないヒールの高いパンプスで、構内を急いだ。

匠は中学高校を通じた四歳年上の先輩というだけでなく、初恋の相手であり今も密かに想いを寄せる特別な男性だ。

会社を出る前に謝罪のメッセージを送り、匠からは「待つから焦らなくていい」と返事が届いているが、美緒にとって今日は年に一度の大切な日。

焦らないわけがない。

「大きなクリスマスツリーの近くにいるって……あ、あった。すごい……」
 
改札を出た美緒は、目の前の広場でキラキラ輝くクリスマスツリーに目が釘付けになる。

二十メートルはあるだろうか、青と白を基調にしたライトが全面を覆い、華やかな輝きを放っている。

話には聞いていたがここを訪れるのは久しぶりで、その迫力に圧倒された。

「綺麗……」

美緒はつい足を止め、規則的な光の点滅に目を凝らした。

このところ会社の仕事が忙しいのはもちろん、副業の洋服の製作・ネット販売も立て込んでいて、終業後に出かけるのは久しぶり。

今日も匠との約束がなければまっすぐ家に帰っていたはずだ。

「あ……そうだ、匠先輩」

見とれている場合ではないと、美緒は辺りを見回した。

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