クールな御曹司と初恋同士の想い想われ契約婚~愛したいのは君だけ~
ただでさえスタイルがよく整った顔立ちの匠に煌びやかな衣装はよく似合い、舞台上でスポットライトを浴びる姿は本物の王子様のようだと、かなりの評判を呼んだ。

そのことがきっかけで美緒は匠と距離を縮め、卒業後も今日のようにふたりで食事をしたりドライブに出かけたりと、仲がいい先輩後輩としての関係が続いている。
 


匠と連れだって訪れたのは、繁華街から少し離れた通りにあるこじんまりとしたレストラン。

ライトブラウンで統一された店内は優しい雰囲気で、いつ来ても心が落ち着く素敵な空間だ。

ここは匠が子どもの頃から家族とよく来ていた馴染みの店で、美緒も大学二年生の時に初めて連れて来られて以来何度か来ている。

案内されたのは店の最奥にあるふたりがけのテーブル席。

向かい合って座る匠との距離が近く、落ち着かずそわそわする。

揃って冬限定メニューのビーフシチューを注文した後、美緒はバッグの中から赤い包装紙でラッピングされた包みを取り出した。

「毎年同じ物ばかりで申し訳ないんですけど。クリスマスプレゼントです」

 遠慮がちにそう言って、美緒は細長い包みを匠の手元にそっと置いた。

 今日匠と会っているのは、これを手渡すためなのだ。

「去年よりうまく仕上がったと思うんですけど」

「ありがとう。開けてもいいか?」

匠は期待に満ちた目で美緒に問いかける。

「はい」

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