クールな御曹司と初恋同士の想い想われ契約婚~愛したいのは君だけ~
「服の注文数が毎年伸びてるって言ってたけど、それも納得だな。華耶に作ってくれたワンピースもこのネクタイもセンスがいいし、なにより仕立てが丁寧だ。会社の仕事も忙しいのに、洋服作りの方も頑張ってるんだな」
 
匠は感心し、ネクタイの指触りを楽しんでいる。

華耶は匠のいとこである大原京佳の娘だ。今年高校に入学した美少女で、彼女が九歳の時に匠を通じて知り合った。
 
彼女にも毎年クリスマスプレゼントとして洋服を仕立てていて、今年は紫のワンピースを贈ったのだ。


「ありがとうございます。そう言ってもらえるとやる気が出ます」

美緒にとって洋服作りは趣味以上の意味合いがある。

会社が副業を許可しているので時間と体力が許す限りワンピースやパンツなどの洋服を作りネットで販売しているが、自分のブランドを立ち上げて実店舗を持つという夢を叶えるにはまだまだだ。

商品を返品されて自信を失うこともあるが、こうして励みになる言葉をもらえると前向きな気持ちになれる。

「勉強することばかりですけど、洋服を作るのが楽しくて仕方がないんです。いつか自分のブランドを立ち上げてお店を持てるように頑張ります」

他の誰でもない、心から慕っている匠に背中を押され、美緒はつい饒舌になる。

「本当に楽しそうだな」

匠は美緒に優しい眼差しを向けた。

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