毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「明日さー、体育あんじゃん?」

「うん」

「まだ暑いじゃん?」

「うん」

「サボんない?」

「てかなんでバス乗ってんの?」

「サボる?」

「だーかーらー!なんでゆうれいまで乗ってんのって!」

「一緒に乗んなきゃもうバイバイだっただろ!?」

車内の中で大きい声を出してしまった私達を何人かにチラチラ見られてしまって俯いた。

本当にごめんなさいって気持ちを抱えながら、
あんたのせいだからね!って目でゆうれいを見た。

「もしかしてうちまでついてくる気?」

「バス降りたらちゃんと帰るよ。そこまでストーカーみたいなことしないから」

「もう十分してると思うけど」

「マジ!?」

「マジ」

頬骨らへんを人差し指で掻きながらゆうれいはふてくされた顔をした。

「だってゆめ、また風にときめいてない?」

「はー?ないない」

「絶対あるって。隣になってさ、ちょっとくらいドキドキしてるだろ」

「ドキドキっていうか、緊張?」

「してんじゃん。だから俺も、もう隠さないことにしたから」

「それでニカの前であんなこと言ったの!?」

「そ。外堀から埋めていこっかなーって。なんかニカちゃん、応援してくれてる気がするし」

確かに…それはそう。
ニカは私とゆうれいがくっつくことを望んでいるみたいだった。
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