毒で苦い恋に、甘いフリをした。
二学期に入って、そんなにすぐ夏休みボケが解消されるはずもなくて…。

また休みを待ち侘びる毎日が過ぎていった。

九月も半ばを過ぎた頃。

「柳くん、ごめん。次の教科書忘れちゃったみたい。見せてもらってもいいかな?」

次の六時間目の国語が終わったら帰れる。
明日は土曜日だから、いつもより気持ちが軽い。

もうすぐ休憩時間が終わって、六時間目が始まろうとしていた。

ゆうれい達とニカの席は近い。
ニカと喋っていた私にも、こころちゃんの声が聞こえてきた。

「市原さんめずらしーね」

「入れたと思ったんだけど。ごめんね?」

「全然だいじょーぶ」

隣同士、って言っても机はぴったりくっついているわけじゃなくて、そのちょっとの隙間を、ゆうれいが埋めた。

ピタッとくっつけた机と机の境目に教科書を置く。
ゆうれいとこころちゃんの肩が近づいた。

授業が始まってもなぜか二人のことばっかりが気になって、チラチラと様子を窺ってしまう。

なんか教科書に書きあってクスクスしてるし…。

チラッとかっちゃんのほうを見たら、目が合ってしまった。

かっちゃんも二人のこと気になってるのかな。
なんか気まずいな…。
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