毒で苦い恋に、甘いフリをした。
かっちゃんとゆうれいは今日もみんなで遊んでいくって言っていた。

たまに部活に入っていない人達と放課後に遊んでるみたいだけど、
そんなにスポーツが好きなのに帰宅部なんて不思議。

何か一つだけじゃなくていろんなことをやるのが楽しいのかな。

かっちゃんもゆうれいも一途なのに…って、それはちょっと違う気もするけれど。

校門をくぐって校舎の玄関口まで運動場を突っ切っていく。

部活員と違って制服のままで遊んでいる男子達が目立っている。
あの中にかっちゃんとゆうれいも居るんだろうな。

いつもは無い女子の人だかりまでできてるし。

私のクラスの下足箱には、一足しかローファーが残っていなかった。

外で遊んでいる男子達はまだ残っているとして、
校舎内に残っているのは一人だけ。
こころちゃんだった。

かっちゃんを待ってるのかな。
いつ戻ってくるか分かんないのに。

でもかっちゃんはうれしいだろうな。

もう一度上靴を履いて、階段をのぼった。
私のクラスの教室に電気が点いているのが分かった。

忘れ物を取りに来ただけだけど、
こころちゃんと二人で顔を合わせるのはなんとなく緊張してしまう。

ちゃんと話すのも花火大会の日以来だし。
< 112 / 208 >

この作品をシェア

pagetop