毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「こころちゃん」

放課後。
ホームルームが終わって、すぐにこころちゃんの席に行った。

いつもはバイバイって声をかけるかっちゃんにもなんにも言わないで、

近くに来るなりゆうれいじゃなくてこころちゃんに声をかけた私を、
かっちゃんもゆうれいも不思議そうに見ている。

「結芽。私は黒崎と先に帰るからね?」

「うん。また連絡するね」

「待ってる。バイバイ」

「茅野さん達、どーしたん?」

「なんでもないからっ。行くよ!」

ニカが黒崎くんの腕を無理矢理引っ張って教室から出て行った。

「ゆめ、市原さんと帰んの?」

「じゃ、こころも今日は一緒に帰れない?」

ゆうれい達の席にかっちゃんもやって来て、いつもと違う行動を取っている私達に二人とも興味津々だった。

「風くん、ごめんね。ちょっと茅野さんに相談したいことがあって」

「相談?それなら俺も聞くのに」

「かっちゃん!女子同士のお話なのー」

「うーわっ。風ってばデリカシーなーい!俺でも空気読んだのにぃ」

「ゆうれいも茶化さない!」

「はいすみませんでした」

「あはは!ほんっとに三人って仲がいいよね。羨ましいな」

こころちゃんの笑顔を見て、かっちゃんがやわらかく微笑んだ。

「三人」って言われたのが嫌だったのかゆうれいはちょっと拗ねている。

こころちゃんは天使の顔で笑ったけれど、目が笑ってないって思ってしまった。
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