毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「かっちゃんのことは?話してるうちにちゃんと好きになったから付き合ってるん…だよね…?」

「全然」

「全然?」

「うん。ぜーんぜん。私のことが大好きで、優しくて、顔もイイし人気あるから完璧なんだけど、それだけ。一番の理由は、茅野さんの好きなひとだからだよ」

「わたっ…私が好きなひとだからかっちゃんを好きになったふりをしたの!?なんで!?かっちゃんは本当にこころちゃんのことが好きでっ…」

「知ってるよ」

「なんで!?本当に好きじゃないのならそんなことしないでよ!かっちゃんを巻き込んで傷つけないでよ!かっちゃんはこころちゃんになんにもしてないじゃん!」

「最初に私の恋を奪ったのはあなたでしょう?」

「え…?」

「茅野さん、自分が最初に柳くんと仲良くなったって思ってるでしょ?」

「最初がどうとかはよく分かんないよ。かっちゃんが入学式の日に仲良くなったからで…」

「私ね、最初に柳くんとお話したのは受験の日だったんだぁ」

「受験って…そうなの?全然知らなかった…」

「柳くんはやっぱり話してもくれてないんだね」

「それは…」

運動場を突っ切って、何人もの生徒達が校門を出ていく。

一学年だけでも相当な生徒が在籍している。
それでも受験で定員までは絞られているんだから、受験生なんてもっともっといたはずで、
そこにそんな繋がりがあったなんて想像もできない。
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