毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「茅野さん達さえいなければきっとうまくいってた!たまたま同じクラスになっちゃったから…柳くんがたまたま風くんの親友になったから…だから柳くんだってたまたま一番近くにいたあんたを好きになっただけじゃん!」

「八つ当たりしないでよっ…私はこころちゃんの気持ちを知らなかったし、ゆうれいに本当のこと言っちゃだめだなんて強制もしてない!逆恨みだよ…」

「茅野さんにそんなこと言えるの?」

「え?」

「茅野さんだってそうじゃん。たまたま近くにいた風くんに運命感じて好きになった。でも風くんは茅野さんじゃなくて私を選んだ。そのことでうじうじして言い出せなくて柳くんを利用したんでしょ?そんな曖昧なことして茅野さんはもっと柳くんを縛りつけたんだよ!風くんだってどんなに長い時間を一緒に過ごした茅野さんより私を選んだ。だったら柳くんだってって…時間なんて関係なかったのにってどんなに思ったってあんたがずっとずっと柳くんに寄生するからっ…!」

俯いて、地面を相手にしてるみたいに叫んだこころちゃんが、キッとした瞳で私を睨みつけた。

「ねぇ…こころちゃん。それって憶測…?私がゆうれいを利用してるって…それとも…」

「まだしらばっくれるの?」

「どういう意味…」

「私の中心にはずっと柳くんが居た。その中心が壊れた日。あんたに奪われたもの全部奪い返して、あんたが持ってるもの全部を壊してやろうって決めたの」

こころちゃんがブレザーのポケットからスマホを取り出して操作した。

向けられたスクリーンには動画が流れている。

私とゆうれい。

屋上で…この場所で、キスしてる二人の姿。
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