毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「どうすんの?これから」

「…こころちゃんが余計なことしてくれたから計画が潰れちゃったよ」

「あっはは!計画?なにそれ?」

「こころちゃんとちゃんと話したらニカにも本当のこと言うつもりだった。ゆうれいにしてきたことも、かっちゃんへの今の気持ちも。その前にこんなことされちゃったらもう冷静になんて聞いてもらえない」

「それは信頼関係の問題じゃないの?私が何したって菊池さんが心から茅野さんを信じてるなら惑わされないはずだけど?私のせいにしないでよ」

「こころちゃんがそうなるように仕向けたんでしょ!?」

「でも事実でしょ?自分がやったことまで私のせいにしないでよ」

ニカになんて言おう。
保身のために親友を傷つけるなんて、ニカが一番嫌うことだ。

かっちゃんは私とゆうれいが付き合えばいいなって思ってた。

実際はかっちゃんを忘れるために体だけで慰め合ってたなんて知ったらもう口もきいてもらえなくなるかもしれない。

「もうどっちにしろ終わりじゃん…」

「あれ?やっと諦めてくれる気になった?」

「諦めるもなにも…どうせかっちゃんへの気持ちがうまくいくわけないんだし。ゆうれいとニカには誠意を見せるよ。信じてもらえないかもしれないけど」

「別になんでもいいんだけど、柳くんの前から消えてさえくれれば」

校舎全体にチャイムが鳴り響いた。
完全下校の時間を報せるチャイムだ。

もう少ししたら部活動の生徒達も帰宅していく。

見下ろした運動場も、部活動生達が片付けを始めていた。
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