毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「でもさ、こころちゃんだってもう救いようがないよね?」

「は?」

「グループに動画を貼ったのはこころちゃんだし。かっちゃんだってこころちゃんに理由くらい問い詰めると思う。このまま変わらず続けていくことはもうムリだよね?」

「それがなに?私、風くんと恋人ごっこ続けたいなんて言った?」

「いいんだ?嘘でもかっちゃんの彼女でいれば、ちょっとでもゆうれいの近くには居られるのに」

「なに言ってんの?風くんに嫌われてフラれることなんてむしろ好都合なんだけど?」

こころちゃんが私の肩を強く掴んだ。
おまけに爪まで立てられてるし。

その手を強く振り払って、こころちゃんを睨みつけた。

「何が好都合なの?全然意味分かんない」

「柳くんってお人好しじゃん。本当は柳くんが好きで、そばに居たかったからこんなことしたの。嫌いな子に優しくしてるところ見てるなんて堪えられなかったぁーとかなんとか言ってれば茅野さんみたいに慰めてくれるんじゃないかなぁー」

「頭悪いんだね、こころちゃんって」

「はぁ!?」

「かっちゃんはきっと私を許さない。おんなじように親友を酷い扱いしたこころちゃんのこと、ゆうれいは絶対に許さないよ。ゆうれいのことだから自分のことも責めると思う」

「自分だけ全部失くしちゃうからって同じにしないでくれる?私はあんたみたいにうじうじする気はないし、柳くんをクズみたいなあんたとの関係から救ってあげるの!」

「どうかなぁ?むしろゆうれいは私とクズに堕ちちゃうこと、望んでたんじゃないかな?だってそうすれば私がゆうれいから離れられなくなるから。こころちゃんがかっちゃんとラブラブになればなるだけ、私とゆうれいの間に秘密ができていってたんだよ?可哀想…私を陥れたかったんだろうに、自分でもっと沼らせてたんだね?」

「だまれっ!!!」

こころちゃんが私の髪の毛を思いっきり掴んだ。

腕が絡まり合う体勢で仕返ししたら、こころちゃんのヘアゴムが切れて、ハーフアップにしていた髪の毛がふわっと風に舞った。
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