毒で苦い恋に、甘いフリをした。
ボロボロ涙を流して泣くこころちゃんを見ながら、
ただくちびるを噛み締めるしかできなかった。
最初から、私もこころちゃんも負けていた。
その言葉がすべてで、どんなに足掻いても人の感情を思い通りに動かすことなんてできないのに、
どうにか縋りつきたくて、傷つけちゃいけない人を傷つけ続けた。
ゆうれいが与えてくれるぬるい毒を″愛″になんてしちゃいけなかった。
甘い恋愛なんてここには無いんだって理解していればこころちゃんだってこんなことはしなかったかもしれないのに。
集まる野次馬を掻き分けて、屋上に入ってきた人達が居た。
「みんな…」
かっちゃんとゆうれい、それからニカと黒崎くんも。
「なにやってんだよ…」
「かっちゃん…なんで…?」
ニカが私達のそばまで来て、私の頬を叩いた。
「ニカ…」
「あの動画が添付されてからずっと探してた。吹奏楽の友達から連絡もらったの。あんた達が屋上で騒ぎになってるって。なにやってんの!?」
頬を押さえて俯く私の背中をゆうれいがさすった。
「ニカちゃん、何も叩かなくても」
「こんなときまで甘やかさないで!結芽、ちょっと冷静になりな」
「こころ…大丈夫か?」
触れようとしたかっちゃんの手を、こころちゃんは払いのけた。
一番に私に駆け寄ったゆうれいのことを、険しい目で睨みつけて、くちびるの端を噛んでいる。
「ゆめ、血が出てる」
こころちゃんの爪で切ったくちびるの端をゆうれいが指で拭った。
もう固まっている血は拭えなかったみたいだけど。
「ほら!全員帰りなさい!これ以上騒がないように!」
吹奏楽部の顧問の先生が屋上にいた生徒に出ていくように大声で言った。
全員が出ていってから、私とこころちゃんはクラスを聞かれた。
「明日、二年生の学年主任にお伝えします。朝、教室に行く前に生徒指導室に寄りなさい。来なければ停学処分よ」
「…はい」
「あなたは?」
返事を促されたこころちゃんは声には出さずに首を縦に振っただけだった。
ただくちびるを噛み締めるしかできなかった。
最初から、私もこころちゃんも負けていた。
その言葉がすべてで、どんなに足掻いても人の感情を思い通りに動かすことなんてできないのに、
どうにか縋りつきたくて、傷つけちゃいけない人を傷つけ続けた。
ゆうれいが与えてくれるぬるい毒を″愛″になんてしちゃいけなかった。
甘い恋愛なんてここには無いんだって理解していればこころちゃんだってこんなことはしなかったかもしれないのに。
集まる野次馬を掻き分けて、屋上に入ってきた人達が居た。
「みんな…」
かっちゃんとゆうれい、それからニカと黒崎くんも。
「なにやってんだよ…」
「かっちゃん…なんで…?」
ニカが私達のそばまで来て、私の頬を叩いた。
「ニカ…」
「あの動画が添付されてからずっと探してた。吹奏楽の友達から連絡もらったの。あんた達が屋上で騒ぎになってるって。なにやってんの!?」
頬を押さえて俯く私の背中をゆうれいがさすった。
「ニカちゃん、何も叩かなくても」
「こんなときまで甘やかさないで!結芽、ちょっと冷静になりな」
「こころ…大丈夫か?」
触れようとしたかっちゃんの手を、こころちゃんは払いのけた。
一番に私に駆け寄ったゆうれいのことを、険しい目で睨みつけて、くちびるの端を噛んでいる。
「ゆめ、血が出てる」
こころちゃんの爪で切ったくちびるの端をゆうれいが指で拭った。
もう固まっている血は拭えなかったみたいだけど。
「ほら!全員帰りなさい!これ以上騒がないように!」
吹奏楽部の顧問の先生が屋上にいた生徒に出ていくように大声で言った。
全員が出ていってから、私とこころちゃんはクラスを聞かれた。
「明日、二年生の学年主任にお伝えします。朝、教室に行く前に生徒指導室に寄りなさい。来なければ停学処分よ」
「…はい」
「あなたは?」
返事を促されたこころちゃんは声には出さずに首を縦に振っただけだった。