毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「映画、素敵だったね」

「うん。家族のこと大事にしなきゃって思ったなー」

「あはは。こういうときだけね?」

「いやいや。普段から思ってますよ?」

「ん。そうだね。かっちゃんは絶対に思ってるよね」

映画が終わって、大通りに出た。
さっきよりも人が増えてきた気がする。

もうすぐ六時になろうとしている。
外はすっかり薄暗くて、もう少し歩いたら本格的なイルミネーションで装飾されている広場に着く。

キョロキョロしてる私に、かっちゃんが微笑みかけた。

「大丈夫だよ」

「え?」

「ちょっと遠くのほうから見よう。知り合いに見つかんないように」

「ごめんねっ…一緒に居るとこ見られたらまだマズイかなって…」

「分かってる。結芽がまた変な噂流されたら俺だって嫌だから」

「かっちゃん」

「ん?」

「私、そろそろ知られてもいいかなって思ってるよ?ニカには特に…。それにゆうれいも気づいてるっぽかったよ。私、かっちゃんのこと真剣だから!ずっと隠していたくない…」

「じゃあ、あとでちゃんと話そうな?今はクリスマスを楽しまなきゃ」

「うん。そうだよね」

かっちゃんとの奇跡みたいな時間。
今は幸せに身を委ねていたい。

今まで見たどんなイルミネーションよりきれいで眩しくて、
かっちゃんの隣に居られることが幸せすぎて泣いてしまいそうだった。
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