毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「そっかぁ。ありがと」

「電気消したほうがたぶんきれいだけど。こぼしたら大変だからつけたままにしとこっか。雰囲気崩れちゃうけど」

「ううん。そのままでいいよ」

かっちゃんがテーブルに二人で半分こしたらちょうど良さそうな大きさのホールケーキと、ティーカップ、ティーポットを並べてくれた。

もしも雪が降っていたらホワイトクリスマスにすごく似合いそうな、生クリームで真っ白のケーキ。

鼻をくすぐるアップルティーと、甘ったるい香りを漂わせながら揺れるキャンドルの灯り。

全部、私が嫌いな物だった。

「かっちゃん、私…」

「ん?」

かっちゃんの前で生クリーム食べたことないよ。
紅茶もストレートしか飲まないし、
甘い香りは苦手。

そんなこと、言えるはずない。

こんなのは偶然だ。
きっと何かの話の中で勘違いしちゃったんだ。

私のためにこんなに用意してくれたんだもん。
それって愛情でしかないじゃん。

大好きなひとが自分のためにこんなにも頑張ってくれたってことが大事なんだから。
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