毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「自分が利用されてたことが苦しかったから?それとも大切なこころちゃんが私のせいで苦しんだから?」

「お前さぁ、さっきからずっと勘違いしてるよ。なんでお前の中にはいつも俺とお前、時々こころしか居なくて、怜はどこにも居ないんだよ」

「そんなわけないじゃん!ずっと思ってる!ゆうれいがどんなに大切だったか。どんなに後悔してるか…」

「だったらなんで分かんねーんだよっ!俺は怜のことも大事だった!大事な親友で、失くしたくないって思ってた!」

「かっちゃん…」

「お前を中心に、全部壊されたって思ったとき…そんなに俺のことが好きなんだったら俺がお前の全部を壊してやろうって決めた」

「あの日からずっと?」

「あぁ。最高のシチュエーションで、こころが好きだった物だけでお前を取り囲んで。俺の中にはお前の居場所なんか無いって思い知らせてやろうって。お前の歪む表情を想像してるだけでどんな言葉だって言えたよ。本当はこころに言いたかったこともしたかったことも全部!」

「私のこと…ずっと嫌いだったの…?」

「お前さ、マジで憶えてないの?」

「え?」

「ま、それに関しては怜も一緒か…。そういうとこ、お前らほんとお似合いなのにな。でもさぁ、怜はこころのこと憶えてないなんて言ったけどあいつ、結芽のことはたぶん憶えてるだろ」

何かを思い出すような、皮肉を含んでいるような表情をしたかっちゃんを見つめる。

ラグにできてしまった紅茶の染みが、
もう二度と消せない私とかっちゃんの壊れた関係みたいに見えた。
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