毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「ただそばに居るだけでもだめだった?」

「だからだよ。こころに勘違いされちゃたまんないし、怜だってお前のことあんなに好きってバレバレなんだからさ、いっそこころが怜のとこ行っちゃわないようにずっとくっついてくれてればよかったのに。でもさぁ…」

「うん…」

「お前らの距離が急に近づいてきて、あー、もしかして本当に付き合うのかもって思った頃にこころも俺に対して積極的になってきてさ」

「二年になってからだよね」

「あぁ。バカみたいだろ?着実に頑張ってればそんな奇跡も起きるんだとか思ってた。好きになってくれたのなら絶対に怜より幸せにするって思った。それが…あんなことのための計画だったんだよな。だから…ずっと邪魔だった結芽に、そこまでこころを鬼にしてしまったお前に、俺と同じ感情を教えてやろうって決めたんだ」

「そんなの…やっぱり八つ当たりだよ…!」

「結芽、せめてお前だけはそういう感情、分かって欲しかったんだけど?」

「なんで…」

「八つ当たりとかわがままとか筋が通ってなくても、結芽だってずっと思ってただろ?こころなんか消えちゃえって。利害の一致だけで怜を利用してもいいってさ?」

「それはっ…。でもだったら最初にこころちゃんの気を引いたゆうれいはなんで許されんのよ…」

「一途にお前を好きだったからだよ。怜はこころにも都合よく近づこうとなんかしなかった。あいつが利用したのは自分自身だけだった。自分がどれだけ傷ついても結芽の一番になろうって必死だった。なのにお前はそんな気持ちを利用した。俺が好き?笑わせんな。お前の中には誠実も友情も愛情も無い」
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