毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「ニカおはよー!完全ふっかーつ!」

月曜日。
病み上がり早々、日直だったからいつもより一本早いバスに乗った。

なのに教室に着いたらもうニカが登校していたから、
気づかれないように後ろのドアから入って、私に背中を向けているニカに抱きついたらビクーッて肩を震わせたのが分かった。

それと同時に叱られた。

「もーっ!結芽なにやってんのよ!」

「ごめんー。私が元気だって分かって安心したでしょ?」

「こんなことするなら寝込んでくれてたほうがマシ!」

「えー。ひどーい」

「あんた達がこんな時期に泳いだって風に聞いて呆れてたけど。ほんっとバカなんだから」

「泳いではないんだけどなぁ」

「どっちだっていいわよ!…で?病み上がりにしては来んの早いじゃん」

「日直だからだよー。めんどくさー。日誌取ってくるね」

自分の席に鞄を置いて、職員室に向かった。
教室を出ていく私の背中にニカが「普通に戻ってきてよね!」って大声で言った。
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