毒で苦い恋に、甘いフリをした。
一時間目は体育。

ホームルームが終わったら体操服を持って、体育館にある更衣室へ向かう。

男子は運動場でサッカー。
女子は体育館でバレーの授業だった。

「ゆうれい!」

着替えに行こうとしていたゆうれいのブレザーの裾を掴んだ。

「わ!ゆめ、びっくりしたっ」

「もう大丈夫なの?」

「んー?」

「熱、ゆうれいも出てたんでしょ?」

「あー、俺は微熱くらいだから。ゆめこそムリしないでね?」

「うそ。一生無重力空間だって言ってたじゃん。でもありがと」

「ねーねー、茅野さん」

ゆうれいと一緒に更衣室に行こうとしていたクラスメイトの男子に突然名前を呼ばれてパッとその人を見た。

「はい?」

「柳や成田と仲良いよね?」

「えーっと、うん」

「今度さ、俺らとも遊ばない?」

「俺らって…?」

「お前、なに言ってんだよ」

ゆうれいが男子の腕を引っ張って連れていこうとした。

その腕をほどいて、逆にゆうれいの肩に腕を回しながらニコニコと喋りかけてくる。
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