毒で苦い恋に、甘いフリをした。
1

苦いだけ

四月中旬。

まだ朝の七時前なのにやたらと陽射しが強い。
こんな春先に日焼け止めなんて塗ってないよ…。

登校する為に毎日使っているバス停。
通勤ラッシュなのか、バスが来るちょうどいい時間にバス停に着いてしまったら絶対にだめ。

長蛇の列で、バスの座席には絶対に座れない。

バス会社が提示している学校までの運行時間は十五分。

入学してからの二年間、その“十五分”が守られたことは一度もない。

道路は激混みだし、大人も学生もぎゅうぎゅうに押されながら提示されている倍の時間はバスに揺られている。

絶対に座席をゲットするためには、バスが来る二十分前にはバス停に並んでいる必要があった。

そんなに長い時間、突っ立ったまま待てるなら、
バスで座れなくてもいいじゃんって何度も思ったけれど…。

立ったまま、狭い車内で押し潰されそうになりながら、
揺れる車体に足を踏ん張り続けるくらいなら、ジッとバスの到着を待つ二十分を私は選んだ。
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