毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「ちゃんと向き合おうって思ったけど、それはそれでしんどいなぁって」

苦笑いをしたニカが、またサンドイッチを取って、一口食べた。

本当に好きなひとと向き合うのがしんどい気持ちは分かる。

同じ教室で一日の半分以上を一緒に過ごしていたら見たくないことも見なきゃいけないし、
だから私は毎日泣きたくなっちゃうことばっかりだった。

それでもニカが恋愛に自暴自棄になって、
自分や人を傷つけ続けるくらいなら、本当の恋に向き合って、もう後悔して欲しくないって思った。

「応援してる。ニカと彼氏くん達との期間を考えるのにもちょうど疲れてたしね」

「ん?なにそれ?」

「べっつにー?私にできることあったら言ってね?」

「はいはい、ありがと。あんたは自分のこと頑張んなよ?」

「はーい…」

そのとき、なんとなく腑に落ちた気がした。

黒崎くんが私に遊ぼうよって声をかけてきたのは、
私じゃなくてニカを誘いたかったのかなって。

距離が空いてしまった二人だから、もう前みたいに気軽に誘えなくなっちゃったのかもしれない。

私がいいよって言えば、かっちゃんやゆうれいもついてくるかもしれないし、
そしたら色々と心配してくれるニカだって来るかもしれない。

それが口実だったのかなってなんとなく思った。
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