毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「ね、ニカ。夏休みに花火大会あるでしょ?」

「花火大会?うん。去年一緒に行ったよね」

「そう、それ。今年はさ、黒崎くんも誘ってみようよ」

「はぁー?絶対来ないよ。そういうときこそナンパしまくりのときじゃん」

「だーからダメなんだって!ちゃんと向き合おうって決めたんでしょ!?だったらそんな絶好の機会逃したらバカだよ!」

「バカって…」

「三人じゃなくてさ、かっちゃんとゆうれいも一緒なら誘いやすいでしょ?男子がいたほうが黒崎くんも気がラクだろうし」

「そしたら市原さんもきっと来るよ。ううん、絶対に」

「そりゃ…かっちゃんは誘ってるだろうね。でもいいよ、それでも。二人がいいならだけど」

「…じゃあ結芽がまとめてくれる?それなら行くよ…」

「ほんとに!?じゃあ私、頑張っちゃう!」

「…もう。結芽って突然たくましくなるよね」

「たくましい?だってニカのためだもん」

「ありがと」

照れてるのか、そっぽを向いたニカは残りのサンドイッチを口に放り込んだ。

「うぇーパッサパサ」なんて悪態をついたニカは、なんだか可愛かった。
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